淀川大堰は、昭和53年に完成。河口から約10kmにあり、河口堰の役割をしている。
主な役割の一つが潮止めで、大堰のすぐ上流に阪神水道組合の取水口があり、浄水場の取水口にまで海水が上がらないようにしている。そのため、大堰より上流側の塩分濃度はほぼゼロで、大堰より下流は放流量が少ない時期には塩分濃度が大阪湾とほぼ変わらない。
もう一つの役割としては、旧淀川、都心を流れる大川への流量維持および増水時の新淀川への放水がある。約100年前に新淀川が開削され、そのまま流れると淀川の水は全て新淀川に流れてしまう。そのため、大川の流量維持を目的に堰を設けている。淀川の流量が増えた際には、ゲートを開いて新淀川への放流量を増やすことになる(淀川の流量が少ないときには、魚道を流れる流量の毎秒5tぐらいしか新淀川に流れない)。
淀川大堰の魚道形式は、左岸右岸とも「呼び水水路付き階段式魚道」で、幅6mの内1mが呼び水水路となっている。階段部は12箇所の隔壁があり、上流4箇所の隔壁はプラップゲートによる可動式となっおり、淀川の推水量に合わせて高さを調節できるようになっている。
呼び水水路は、魚道入口付近に強い流れを与え、魚を魚道入口へ誘導するための水路である。スリット(オリフィス)による自然調節式でメンテナンス用に手動の引き上げ式ゲートを設置している。
○水位変化への対応
上流側フラップゲートを調節し、魚道部への越流量を調節している。このとき魚道への流量の目安としては、隔壁の越流水深が10cm程度となるようにしている。

○魚道の勾配
魚道の勾配は少なくとも、1/10以下にする必要がある。
○隔壁の作り方
直角隔壁は隔壁と越流落下部の間に空洞が生じ、剥離流となり、魚類の遡上を困難にする。そのため、隔壁を傾斜型(45度)やR型にする必要がある。