十三干潟のように、川の河口に近い川岸に面したところにできる干潟を「河口干潟」※1という。川幅が広く、流れが比較的安定している大きな川では、幅の広い干潟ができる。川幅が広い場合は、川の中州や背後に湿地などができ、この背後の湿地や高まりにヨシ原が広がる。ヨシ原はヨシとそれ以外の水草や低木などが育っている場所で、流れを緩やかにしたり、強い雨や風を弱めたりする効果があり、穏やかな環境の場所である。
  十三干潟でも干潟の背後と中州にまとまったヨシ原があり、対岸の中津付近にも大きなヨシ原が広がっている。ヨシは水につかったり乾いたりする水辺に育つ植物で、河川中流域を代表する植物だが、分征して広がっている場所は限られている。少し乾燥する場所では、ヨシに似たセイタカヨシやオギなどが混ざって生えている。根元には砂や泥と一緒に様々な有機物が溜まり、さらにヨシの落葉などが積み重なっている。このような栄養分は生きものの成長にとても大切なものである。しかし、栄養分が溜まりすぎて生きものが必要とする量を超えると、川の水質を悪くしてしう。
  ヨシはイネの仲間で、毎年春に地表に芽を出し、夏には青々と生い茂り、空きには穂を出す。地面の下に広がった地下茎から栄養分をとってどんどん成長していくため、アオコの発生の原因にもなるリンや窒素などの水質悪化の元となる物質を栄養分として吸収し、川の水をきれいにする。
※1「河口干潟」:干潟は、河口干潟、前浜干潟、潟湖干潟に分類される。
※2「ヨシ」:ヨシはイネ科ヨシ属の多年生草本で、北海道から沖縄まで河川や湖沼などの水辺に生えている。地下茎を張り、茎の下部が水中に没しるが(水深1m以内)、茎と葉の大部分は水面上にある「抽水植物」の代表で群落をなす。塩分濃度のかなり高い汽水域でも生息できる。